調剤薬局専門の税理士ファーマシー会計事務所

調剤薬局の7月は提出書類がたくさん!労働保険、算定基礎、源泉所得税

調剤薬局の経営者・管理者の皆様、お疲れ様です!

いよいよ、経営者や労務担当者にとって「年間で最も過酷な1週間」と言われる7月が近づいてきました。

なぜなら、7月10日という同じ期日に、「算定基礎届」「労働保険の年度更新」「源泉所得税の納期特例(半年分)」という、毛色の違う3大ビッグイベントが一気に押し寄せてくるからです。

調剤薬局は、高給与の正社員薬剤師、シフトが変動するパート薬剤師、出入りのある医療事務など、多様な雇用形態が狭い店舗に混在する特殊な環境。一般企業と同じ感覚で進めると、思わぬ落とし穴にはまることも……。

今回は、「調剤薬局バージョン」に特化して、7月10日までに絶対に押さえておくべき注意点を分かりやすく解説します!

7月10日締切の「3大関門」おさらい

まずは、私たちが戦う相手の全体像を確認しましょう。

手続き名 どこに? 誰が対象? 薬局特有の要注意ポイント
① 算定基礎届 年金事務所 社会保険(健康・厚生年金)に入っている全員 パートの勤務日数、ベースアップによる昇給
② 労働保険 年度更新 労働局・銀行 雇用・労災保険の対象者(パート・アルバイト含む全員) 過去1年の総支給額(非課税の交通費も含む!)
③ 源泉所得税(納期特例) 税務署・銀行 給与から所得税を引いている全員(過去6ヶ月分) 応援・単発薬剤師への支払いの漏れ

算定基礎届

=「今年の9月からの社会保険料」を決める

4月・5月・6月に実際に支払った給与の平均を出して、秋からの社会保険料を決定する手続きです。

調剤薬局の落とし穴

  • パート薬剤師・医療事務の「出勤日数」を要チェック!

    薬局では「週3日だけ」といったパートスタッフが多く活躍していますよね。

    算定基礎は、原則「月17日以上」働いた月だけで平均を出します。ただし、短時間労働者の場合は「11日以上」など、雇用条件によって基準が変わります。「出勤日数が足りない月」をそのまま平均に混ぜてしまうと、社会保険料が正しく計算されず、後からペナルティを受ける原因になります。

  • 「ベースアップ評価料」で給与を上げましたか?

    近年の調剤報酬改定に伴い、春に基本給や手当を増額(賃上げ)した薬局も多いはずです。

    4〜6月に大幅な昇給があり、等級が2等級以上変わる場合は、この「算定基礎届」ではなく、別途「月額変更届(随時改定)」という手続きが必要になります。どちらに該当するか、必ず確認しましょう。

労働保険 年度更新

=「1年間の保険料の精算」と「これからの保険料の前払い」

労災保険(全スタッフ対象)と雇用保険の保険料を計算して納める手続きです。

調剤薬局の落とし穴

  • 「派遣」と「応援(ヘルプ)」の区別に注意!

    • 派遣会社から来ている薬剤師: 自社での計算は不要です(派遣会社が払うため)。

    • 近隣の系列店舗や、知人の薬局から「応援」で一時的に直雇用した薬剤師: 支払ったお給料は、自店舗の労災保険の対象に含める必要があります。

  • 「非課税の交通費」も全部ひっくるめて集計!

    所得税では非課税扱いになる「通勤手当(交通費)」ですが、労働保険の計算では「賃金総額」に含めなければなりません。 調剤薬局は車通勤で遠方から通うスタッフも多いため、交通費の含め忘れが非常に多いです。注意してください!

源泉所得税の納期の特例

=「過去6ヶ月分の天引き所得税」をまとめてドン!

スタッフの給与から毎月天引きしている所得税を、まとめて国に納付します(※従業員10人未満で、納期特例の承認を受けている薬局が対象)。

調剤薬局の落とし穴

  • 単発・スポット薬剤師への「手渡し・日払い」はありませんか?

    「急に体調不良が出て、1日だけスポットで薬剤師に来てもらった」

    「繁忙期だけ、知り合いに日給で手伝ってもらった」

    ……そんなケース、ありませんでしたか?

    たとえ1日限りの雇用であっても、源泉徴収(丙欄など)が必要です。「普段の給与システム(明細)に載りにくいイレギュラーな人件費」の源泉税が漏れていないか、過去6ヶ月分の帳簿を必ず再確認してください。

経営者・管理者が今すぐすべきこと

7月10日は、労働保険料の支払いと、半年分の源泉所得税の支払いが同時に発生する「魔の日」です。

調剤薬局の収入(調剤報酬)は、ご存知の通り審査支払機関から2ヶ月遅れで入金されます。

そのため、この時期は「帳簿上の利益はあるのに、通帳のキャッシュが一気に減る」という資金繰りの罠に陥りやすいのです。

まずは「いくら手元から出ていくのか」の概算を大至急出し、口座の残高を確保しておくことから始めましょう。

「計算が複雑で自信がない…」「ベースアップ評価料の昇給がどう影響するか分からない」という場合は、早めに顧問税理士や社労士の先生に相談してくださいね。

早めの準備で、この「7月の魔の山」を賢く乗り越えましょう!

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