調剤薬局専門の税理士ファーマシー会計事務所

社宅制度は調剤薬局にとって有利なのか?

調剤薬局の経営で一番の課題は「薬剤師の確保」と言っても過言ではありません。
特に地方や郊外では薬剤師不足が深刻で、求人を出してもなかなか応募が集まらない状況です。

そこで効果的なのが社宅制度
住居を会社が用意すれば「家賃の心配がない」「知らない土地でも安心して働ける」という魅力が生まれ、採用の大きな武器になります。

従業員にとってのメリット

  • 家賃の大半を会社が負担してくれる

  • 現金給与で受け取るより、所得税や社会保険料の負担が少ない

  • 実質的な手取りが増える

たとえば、給与を3万円増やすより、家賃補助として3万円会社が負担する方が、手取りベースで従業員にとって有利になるケースが多いです。

薬局にとってのメリット

  • 福利厚生費として損金算入できるため、法人税の節税になる

  • 給与を上げるよりも社会保険料負担が抑えられる

  • 福利厚生が充実していることで求人広告でもアピールできる

給与ベースでの昇給よりも、「会社・従業員ともに負担が少ない形で待遇改善できる」のが社宅制度の強みです。

注意点(税務上の取扱い)

  • 従業員の場合
    家賃の一部(1割〜2割程度)を自己負担させるのが一般的。

  • 役員の場合
    「賃貸料相当額」という国税庁基準での計算が必要。負担ゼロや高額物件だと給与認定され、課税リスクあり。

まとめ

以上のように社宅制度は有効なように思えますが、実務的に実際に社宅制度をしているところ、また、検討しているところの意見としては次のような意見もあります。

実務的に実際どうなの?

調剤薬局側の意見

  • 給与プラス社宅の負担は正直重い。
  • 給与の額面を減らしてその分を当てられるならいいけれど、結局昇給でしょう?
  • 社宅は感謝されづらいんだよな。

従業員側の意見

  • 住むところを会社に管理されるのは嫌
  • 退職した時どうなるの?
  • 結局天引きされるんでしょう?

といった感じで、正直なところ調剤薬局側も金銭的に負担がある割に感謝されづらいという側面もあり、また従業員側でも社宅制度を全員が喜ぶわけではありませんし

とはいえ、調剤薬局における社宅制度は、

  • 人材採用の強力な武器

  • 法人税・社会保険料の節税策

として非常に有効なこともあります。
ただし、役員利用や高額物件では税務上の注意が必要ですので、制度設計は専門家に相談しながら進めるのが安心です。

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