調剤薬局で領収書を紛失したときの対応と医療費控除のポイント 〜再発行義務はなし?有償の証明書発行や代替手段まで徹底解説〜

調剤薬局において「医療費控除で使うから…」と、過去に支払った薬代の領収書を再発行してほしいという依頼は珍しくありません。
再発行を断るとクレームになったりすることも・・・
しかし、実は調剤薬局や医療機関には領収書を再発行する法的義務はありません。
主な理由は次の通りです。
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法令上、再発行の義務が定められていない
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複数の領収書が存在すると、不正利用や二重申告の温床となる恐れがある
調剤薬局側の実務対応とは?
多くの調剤薬局では「領収書の再発行は行っていない」という方針ですが、代替方法を設けている場合があります。
再発行は原則不可
ほとんどの薬局は、不正利用防止の観点から再発行には対応していません。
患者様への説明においても不正利用防止の観点から再発行に対応していない旨をお伝えすると納得して貰いやすいかもしれません。
また金額だけお伝えすることは可能といった対応でもいいかもしれませんね。
有償で「一部負担金証明書」を発行
過去のレセプトデータをもとに、患者が支払った自己負担額をまとめた「一部負担金証明書」や「年間薬代証明書」を発行するケースもあります。
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発行手数料:数百円〜1,000円程度
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記載内容:保険適用分のみ
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発行まで数日〜数週間
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本人確認書類の提示が必要な場合あり
また、以下に医療費控除を受ける側(患者側)の対応を確認しておきます。
医療費控除における代替手段
医療費控除の申告では領収書の提出は不要ですが、5年間の保存義務があります。紛失した場合は以下の手段を検討しましょう。
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健康保険組合や国保の「医療費通知」の利用
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銀行・クレジットカード明細、家計簿アプリ記録などの支払証明
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他資料と組み合わせて税務署に事前相談
領収書紛失時の医療費控除FAQ
Q. 領収書を紛失したら医療費控除はできない?
→ 代替資料があれば可能です。医療費通知や証明書を活用しましょう。
Q. 薬局の証明書は医療費控除に使える?
→ 多くの場合、自己負担額の証明として利用可能です。
Q. 証明書に市販薬や自費分は含まれる?
→ 原則、保険適用分のみです。
領収書紛失防止の予防策
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領収書専用ファイルや封筒を用意
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スマホで撮影しクラウド保存
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半年ごとに整理し、申告前に慌てないようにする
まとめ
調剤薬局には領収書再発行の義務はなく、再発行は原則不可です。
ただし、有償で「一部負担金証明書」を発行している調剤薬局もあります。
患者様への説明は不正利用の防止のためという説明で良いと思いますが、トラブル防止のため調剤薬局内に「領収書の再発行不可」という表記をしておくと良いかもしれません。
また、医療費控除では医療費通知や支払証明書で代替できる場合があるため、そういった説明とともに税務署へ問い合わせて対応してもらうなどのアドバイスをしてもよいかもしれませんが、税務に関するアドバイスは税理士法違反の可能性もでてきますので「代替手段はあるので税務署へ問い合わせ見てください」と対応するのが無難ではないかと思います。