調剤薬局が薬局の賃貸契約を結ぶときの注意点|契約と税務処理のポイント

1. 契約における注意点
調剤薬局は「医療モール」「クリニック隣接物件」などでテナント契約を結ぶケースが多くあります。
一般的な店舗賃貸契約と比べて、以下の点に特に注意が必要です。
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用途制限の確認
契約書に「医療関連不可」などの制限がないか要確認。薬局利用が明確に許されているか必ずチェック。 -
解約条項(中途解約・更新料)
立地が売上に直結するため、不利な解約条件だと早期撤退リスクがあります。 -
原状回復義務
調剤薬局は給排水・内装工事が大掛かり。範囲を曖昧にすると退去時に高額請求の可能性あり。 -
保証金・敷金の扱い
高額になるケースが多い。返還条件や償却部分を契約書で確認すること。
2. 税金計算上の注意点
賃貸契約に伴う費用は税務上の処理が分かれるため、正しく区分することが重要です。
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敷金・保証金
→ 原則資産計上。返還されない部分は繰延資産として契約期間に応じて償却。 -
礼金
→ 原則として繰延資産。契約期間に応じて均等償却します。
例:契約期間5年、礼金300万円 → 年60万円ずつ費用化。 -
仲介手数料・印紙代
→ 支払時に全額費用処理可能。 -
更新料
→ 原則繰延資産として契約期間に応じて償却。 -
内装工事費用
→ 設備・造作は資産計上し、耐用年数に基づいて減価償却。貸主負担の場合は実質的な賃料に上乗せされることが多い。 -
賃料
→ 毎月の家賃は必要経費(損金)。
3. よくあるトラブルと対策
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「薬局不可」条項で開局できなかった
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原状回復範囲が曖昧で、退去時に1,000万円以上の請求を受けた
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保証金返還をめぐるトラブル
👉 対策として、契約前に必ず 不動産会社・弁護士・税理士など契約を読むことにあかるい専門家にチェックしてもらう と安心です。
まとめ
調剤薬局が賃貸契約を結ぶ際には、
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契約条件(用途制限・原状回復・解約条項)をしっかり確認する
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礼金・保証金・更新料は繰延資産として契約期間で償却
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仲介手数料や印紙代は即時費用
という点がポイントです。
開業時に見落としやすい部分なので、事前に正しい処理を理解しておくと安心です。