調剤薬局の内装工事費用の税務処理|建物と建物附属設備の区分がポイント

1. 内装工事費用は一括で処理できない
調剤薬局の開業時に行う内装工事は、待合室・調剤室・給排水・空調・照明など多岐にわたります。
これらはまとめて「内装工事費」として処理するのではなく、内容に応じて「建物」「建物附属設備」「器具備品」に区分する必要があります。
2. 建物になるもの
建物自体の価値を高める工事は「建物」に含めて資産計上します。
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壁・床・天井の造作
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間仕切り壁の設置・変更
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店舗全体の大規模なレイアウト変更
👉 「建物」に計上した場合は建物本体と同じ耐用年数(RC造なら47年、鉄骨造なら34年など)で償却します。
3. 建物附属設備になるもの
建物に付随する設備工事は「建物附属設備」として区分できます。耐用年数は一般的に15年です。
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空調設備
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照明設備・電気配線
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給排水・換気設備
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セキュリティ設備
👉 薬局では「調剤室の給排水」「待合室の空調」など、附属設備の割合が多くなる傾向があります。
4. 器具備品になるもの
比較的短い耐用年数で償却できるのが「器具備品」です。
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調剤台・薬棚・受付カウンター(5〜15年)
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レジスター・レセコン・パソコン(5年)
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椅子・テーブルなど什器備品(5〜8年)
5. 修繕費との区分
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修繕費(即時経費OK)
→ 壁紙の張替え、床の補修など、建物の価値を維持する工事。 -
資本的支出(資産計上が必要)
→ 新しい機能を追加、性能を高める、使用可能期間を延長する工事。
👉 薬局では薬棚増設や調剤室の拡張などが「資本的支出」とされやすいです。
6. 税務調査でよく見られるポイント
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本来「建物」に含める工事を「附属設備」にしていないか
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資本的支出を「修繕費」として一括経費にしていないか
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工事見積書に工事区分が明確に記載されているか
👉 工事業者には「建物」「附属設備」「器具備品」が分かる形で見積書を出してもらうと安心です。
まとめ
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調剤薬局の内装工事費用は、「建物」「建物附属設備」「器具備品」に分けて処理する必要がある
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耐用年数は、建物は長期(34年〜47年)、附属設備は15年、器具備品は5〜10年が目安
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修繕費との線引きは税務調査で指摘されやすいポイント
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工事見積書の明細を細かくして、区分の根拠を残しておくことが重要