調剤薬局専門の税理士ファーマシー会計事務所

税理士からみた調剤薬局の今後 ― オンライン診療と自費化の波にどう向き合うか

近年、調剤薬局を取り巻く環境は大きく変化しています。オンライン診療の普及や電子処方箋の導入が進み、薬局が患者と関わるスタイルもこれまでとは異なる方向にシフトしています。
ここでは、税理士の視点から「調剤薬局の今後」を整理し、特にオンライン化・自費サービス化にどう対応すべきかを解説します。

オンライン診療・電子処方箋の拡大

オンライン診療市場は今後10年で年平均20%以上成長すると予測されています。これに伴い、オンライン処方・服薬指導の導入も広がりつつあります。
ただし現状では、電子処方箋を導入している薬局はまだ全体の3割程度。地域や規模によって普及のスピードに差があるのが実情です。

一方で、オンライン診療や予約システムと連携することで、患者にとって便利な導線を提供できる薬局は競争優位を築ける可能性があります。

HP構築と所有権・費用負担の課題

オンライン診療や自費サービスを展開するうえで重要なのが、ホームページ(HP)のあり方です。
HPは単なる紹介ページではなく、予約・診療・処方・服薬指導をつなぐプラットフォームの役割を担うようになっています。

その際のポイントは以下のとおりです。

  • HPの所有権:できれば調剤薬局が持つことで、将来の運営やサービス拡張に柔軟に対応できる。

  • 費用負担:医院と均等に負担することで、双方が納得しやすい仕組みにできる。

  • 制作会社との関係:医師・薬局・制作会社の三者が一体となって運営する体制を整えることが望ましい。

「どこがイニシアチブを取るか」が今後の明暗を分けるポイントになってきます。

自費サービスとの親和性

今後、薬局においては自費サービス(保険外収益)の強化も重要です。
例えば、以下のような展開が考えられます。

  • 健康相談やサプリメント販売

  • 自費診療での薬剤提供

  • 定期配送やオンライン服薬指導の有料化

HPを通じてこれらのサービスをわかりやすく提示することで、患者にとっての利便性を高めつつ、薬局の収益基盤を多様化できます。

税理士の視点からの提案

税理士の立場から見ると、調剤薬局の今後は**「オンライン化と自費化へのシフト」**が大きなテーマになります。
そのためには、

  • 初期投資や維持費を医院と分担してリスクを軽減すること

  • HPの所有権を薬局側が確保し、長期的な戦略を描くこと

  • ICTシステムや補助金制度を活用し、コストを抑えながら最新の仕組みを導入すること

が重要です。

ある薬局のケース ― 他業種の知識が役立った場面

実際に、私たちが顧問をしている薬局でもこんなケースがありました。

新しい駅前に薬局を出店する計画がありましたが、**「家賃が高すぎて経営が成り立つのか」**という悩みがありました。
そこで、私たちは不動産オーナー業のお客様を支援してきた経験を活かし、賃貸契約の見直しをサポート。結果的に条件を調整し、資金繰りに余裕をもたせることができました。

さらに、内装工事の見積もりも高額で、資金面の不安が出てきました。そこで建設業の顧問経験を応用し、コスト削減のポイントを提案。補助金も組み合わせることで、当初より数百万円規模の資金負担を抑えることができました。

最後に導入したのが、オンライン予約と服薬指導をつなぐシステムです。これはIT業の顧問先で得た知見を活かして、補助金対象となる形で導入でき、患者サービスの向上と経営安定の両立につながりました。

ファーマシー会計事務所の強み

このように、調剤薬局の経営支援といっても、実際には不動産・建設・ITなど他業種の知識が欠かせません。
ファーマシー会計事務所は調剤薬局以外にも多業種のお客様をサポートしているため、異業種の知見をクロスして活かす提案が可能です。

薬局専門の知識に加え、異業種の経験を組み合わせて経営全体を支える
これがファーマシー会計事務所の強みであり、これからの薬局経営に求められる支援の形だと考えています。

まとめ

調剤薬局は、従来の「処方箋を待つだけの存在」から、オンラインとリアルをつなぐ医療のハブへと役割を広げつつあります。
オンライン診療、電子処方箋、自費サービス化という流れを正しく捉え、医院との連携体制やHP戦略を工夫することが重要です。

そして税理士としても、薬局に閉じない幅広い業界知識を活かしながら、経営を総合的に支援していくことが、これからの時代に求められる役割だと考えています。

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