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調剤薬局の健康診断・人間ドック費用は経費になる?薬剤師だけ受けると給与課税される落とし穴

「私の人間ドック代を薬局の経費にしたいんですが、大丈夫ですか?」

調剤薬局の薬剤師の先生からよく聞かれる質問です。
患者さんの健康を支える立場だからこそ、ご自身の健康管理への意識が高い先生は多いものです。

健康診断や人間ドックの費用は、条件を満たせば福利厚生費として経費になります。
しかし条件を外すと役員への給与として課税される、意外と落とし穴の多い論点です。正しい取り扱いを確認しておきましょう。

スタッフの健康診断は調剤薬局の義務

まず押さえておきたいのは、労働安全衛生法により薬局はスタッフに年1回の健康診断を受けさせる義務があるということです。薬剤師も調剤事務も、常時使用する労働者はすべて対象です。

この法定健康診断の費用は薬局が負担すべきものであり、当然に**福利厚生費として経費になります。**スタッフへの給与課税もありません。ここまでは迷う余地がない部分です。

問題は、法定の健康診断を超える部分、つまり人間ドックやオプション検査、そして経営者・役員の健診費用です。

人間ドック費用が福利厚生費になる条件

人間ドックのような法定外の健診費用でも、以下の条件を満たせば福利厚生費として経費にでき、給与課税もされません。

①全員を対象としていること

役員・スタッフの全員が受けられる制度になっていることが必要です。「社長だけ」「役員だけ」が対象の場合は福利厚生とは認められません。

なお、「35歳以上の希望者全員」のように年齢等の合理的な基準で対象を区切ることは認められています。
パート薬剤師や調剤事務も含めて、制度として全員に門戸が開かれていることがポイントです。

②薬局が医療機関に直接支払うこと

薬局が健診機関に費用を直接支払う形が原則です。本人がいったん立て替えて実費精算する形も認められますが、現金で「健診手当」として渡すと給与課税されます。

③金額が常識的な範囲であること

一般的な人間ドック(数万円〜10万円程度)であれば問題ありません。高額な特別コースや宿泊付きの豪華な検診プランは給与課税されるリスクがあります。

社長だけが人間ドックを受けるとどうなる?

ここが最大の落とし穴です。

「スタッフは法定健診のみ、社長だけ人間ドック」という運用は、調剤薬局でも実際によくあるパターンです。この場合、社長の人間ドック費用は役員への給与(経済的利益の供与)として扱われます。

役員給与として扱われると、二重に不利な事態になります。

まず社長個人に所得税・住民税が課税されます。さらに、この給与は定期同額給与に該当しないため、**法人税の計算上も損金になりません。
薬局の経費にもならず、個人には課税されるという最悪のパターンです。

「経費で落とせて健康管理もできて一石二鳥」のつもりが、真逆の結果になってしまいます。

夫婦経営・小規模薬局の場合は?

ご夫婦で経営されている薬局で、配偶者が薬剤師や事務として実際に勤務している場合は、勤務実態のある従業員として健診の対象に含めて問題ありません。

一方、従業員がほとんどいない小規模薬局で実質的に経営者夫婦だけが人間ドックを受けるような場合、形式上「全員対象」であっても、実態として役員個人への利益供与と判断されるリスクがあります。健診規程を整備するなど、制度としての形式を整えておくことが大切です。

インフルエンザ予防接種はどうなる?

医療機関である調剤薬局では、スタッフのインフルエンザ予防接種を薬局負担で行うケースが多くあります。これも健康診断と同じ考え方で、全員を対象として薬局が負担すれば福利厚生費になります。

患者さんと日常的に接する薬局スタッフの予防接種は業務上の必要性も高く、福利厚生費として認められやすい費用といえます。

一方、サプリメントやジム会費の補助などは業務との関連性が薄く、原則として給与課税の対象になります。

まとめ

調剤薬局の健康診断・人間ドック費用のポイントを整理します。

スタッフの法定健診は薬局の義務であり当然に経費になります。人間ドックは全員対象・薬局が直接支払い・常識的な金額の3条件を満たせば福利厚生費になります。社長だけが受けると給与課税かつ損金不算入という二重のペナルティがあります。小規模薬局や夫婦経営の場合は制度の形式を整えておくことが重要です。

「うちの薬局の健診制度が大丈夫か確認したい」という先生は、お気軽にご相談ください。

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