調剤薬局専門の税理士ファーマシー会計事務所

調剤薬局の先生が自宅で仕事をしている場合、家賃の一部は経費になる?按分処理を解説

「自宅を本店登記しているんですが、家賃は経費にできますか?」「レセプト業務や書類作成を自宅でやっているんですが、家賃を経費にできますか?」

調剤薬局を経営されている先生からよく聞かれる質問のひとつです。薬局の店舗とは別に、自宅で業務を行っているケースは意外と多くあります。結論からいうと、業務で使っている部分に対応する家賃は経費にできます。ただし、法人と個人事業主では処理方法が異なります。

調剤薬局で自宅が業務に関わるケース

調剤薬局では、以下のような場面で自宅が業務に関わることがあります。

自宅を法人の本店所在地として登記しているケースは、開業時のコスト削減や手続きの簡便さから選ばれることがあります。レセプト業務・経営管理を自宅で行っているケースは、クラウド会計や電子レセプトの普及により、店舗以外での事務作業が増えています。在宅訪問の計画書・報告書作成を自宅で行っているケースも、在宅医療に力を入れている薬局では自宅での書類作成が業務の一部になっていることがあります。

法人(医療法人・株式会社等)の場合

法人の代表者が自宅で業務を行っている場合、個人事業主のように家賃を直接按分して法人の経費にすることはできません。法人と代表者は税務上別人格だからです。

以下の方法で家賃の一部を法人の経費にすることができます。

方法①:法人と代表者の間で賃貸借契約を結ぶ

代表者が自宅の一部を法人に貸す形で賃貸借契約を結びます。法人は代表者に使用料を支払い、その金額を経費にします。代表者側では受け取った使用料が不動産所得として課税されますが、法人側では経費になります。使用料の金額は業務使用割合に応じた合理的な金額である必要があります。

方法②:自宅を法人契約の社宅にする

代表者が住む賃貸物件を法人契約に切り替えて社宅とする方法です。法人が家賃を全額負担し、代表者は適正賃料(賃料相当額)を法人に支払います。法人が支払う家賃全額が経費になり、代表者が払う賃料相当額との差額は課税されません。

本店登記だけでは経費にならない

自宅を本店所在地として登記しているだけで、実際の業務をほとんど行っていない場合は、家賃を経費にするのは難しいです。レセプト業務・経営管理・在宅書類作成など、実態として業務を行っていることが前提になります。

個人事業主(個人開設の薬局)の場合

個人事業主として薬局を開設している場合、自宅の一部を事務所として使っていれば家賃を「家事按分」して経費にすることができます。

按分の方法

最も一般的な方法は床面積による按分です。自宅全体の床面積のうち、仕事で使っている部屋の床面積の割合を計算して経費にします。

たとえば自宅全体が70㎡で、レセプト業務や書類作成に使っている部屋が14㎡の場合、按分割合は20%になります。家賃が月12万円なら2万4千円が経費として計上できます。

仕事専用スペースであることが必要

家族と共用するリビングなどを「仕事でも使っている」という理由で按分するのは認められにくいです。書類作成・レセプト業務専用の部屋、または明確に仕事スペースとして区分されているエリアであることが前提です。

按分の根拠を残しておく

間取り図や部屋の寸法メモなど、按分割合の根拠となる資料を残しておきましょう。「なんとなく2割」では税務調査で説明がつきません。

水道光熱費・通信費も按分できる

家賃だけでなく、自宅で使っている電気代・インターネット代も業務使用割合に応じて按分して経費にすることができます。在宅でレセプトソフトを使っている場合のインターネット代は、業務専用回線であれば全額経費にすることも可能です。

よくある間違い

本店登記しているだけで家賃を経費にしてしまう

登記上の本店が自宅であっても、実態として業務を行っていなければ家賃は経費になりません。実際にレセプト業務や経営管理を自宅で行っていることが必要です。

法人で代表者が直接按分してしまう

法人の場合、個人事業主のように家賃を直接按分して法人の経費にすることはできません。必ず賃貸借契約など法的な根拠が必要です。

按分割合を高くしすぎる

実態以上に高い按分割合を設定するのは危険です。実際の業務使用実態に基づいた合理的な割合である必要があります。

まとめ

調剤薬局の先生が自宅でレセプト業務・経営管理・在宅書類作成などを行っている場合、業務使用部分に対応する家賃は経費にすることができます。個人事業主は床面積など合理的な根拠をもとに按分して経費計上が可能です。法人の場合は直接按分はできず、賃貸借契約を結ぶか社宅制度を活用する方法が必要です。

「自分のケースでどう処理すればいいか確認したい」という先生は、お気軽にご相談ください。

関連記事

調剤薬局のパートスタッフが「残...

調剤薬局のキャッシュフロー管理...

物価高騰で薬局経営はどう変わる...

調剤薬局の法人化はいつがベスト...

【freee/MF対応】調剤薬...

上部へスクロール