調剤薬局の窓口報酬は預金に入れていますか?~税務調査で見られる落とし穴~

調剤薬局において、患者さんから受け取った自己負担分(窓口報酬)は営業日は毎日現金として溜まっていきますが、その現金をそのままレジの中に入れっぱなしにしていませんか?
日々の忙しい業務の中でつい後回しになりがちですが、窓口報酬の管理と入金処理は税務調査で非常に重要なポイントです。
調剤薬局に多い窓口報酬の誤解
保険請求は月1回まとまって行うため、調剤薬局の現金収入の多くは、患者負担の窓口分です。
この窓口収入、次のような管理をしていませんか?
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レジに入れっぱなしで数日分まとめて入金
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入金せず、小口現金や雑費に直接使う
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帳簿には記帳していない
このような処理は、税務上大きなリスクにつながります。
税務調査では「現金の流れ」を見られます
税務調査では、保険請求以外の「現金売上=窓口報酬」がしっかり処理されているかをチェックされます。
もし預金に入れず帳簿にも記載していない場合、次のような指摘を受ける可能性があります。
売上除外(脱税)
現金で受け取った収入を帳簿に記載しなければ、意図せず売上除外=脱税と判断されることがあります。
現金はどうしても記録が残りません。レジには残りますがレジの金額は修正することができますので、どうしても脱税の温床になりやすいということがあります。
そのため、そういった疑いをかけられないためにも窓口現金はしっかりと管理する必要があるのです。
横領・私的流用の疑い
現金をそのまま使っていると、「経営者個人が勝手に使っているのでは」と疑われることもあります。
また、窓口の現金についてどのように取り扱うかというマニュアルが存在しないとスタッフが容易に手にすることができます。
横領はその人が悪いのではなく、横領をできるようなオペレーションを作っている経営者が悪いと認識すべきです。
それではどのように管理するのが良いでしょうか?
正しい管理のための3ステップ
ステップ | 内容 | ポイント |
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① 毎日の集計 | レジの現金を締める | 売上レシートやPOSと一致確認 |
② 預金へ入金 | できるだけ早く(できれば毎日) | 金額・日付を記録 |
③ 会計処理 | 帳簿に売上として記帳 | 入金との整合性が重要 |
小口現金を使っている場合も要注意
同じく小口現金についても注意が必要です。
小口現金を使う場合は、出納帳をつけ、残高と帳簿が合っているか定期的に確認してください。
このオペレーションも横領などが起きないようにダブルチェック、薬剤師が確認することが必要でしょう。
実際にあった税務調査での指摘例
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薬局のレジ現金が多額で、なぜ預金に入れていないのか問われて調査が出だしから不利に・・
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入金記録がなく、現金売上の信ぴょう性に疑義を持たれた
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小口現金からの支払いが多く、帳簿が不透明とされた
→ いずれも修正申告・追徴課税の可能性がありました。(実際はそういった事実はなく調査は指摘事項なしで終わりました)
まとめ:調剤薬局こそ「現金管理」が問われる
調剤薬局のように日々の現金収入がある業種では、売上処理の透明性が税務調査の成否を左右します。
「ちょっとくらい…」という気持ちが、思わぬリスクにつながるかもしれません。
調剤薬局に限らずではありますが現金商売(飲食店や病院もそうですね)を行っている場合の現金の管理はしっかりとしたマニュアルを設けて、税務的にも脱税を疑われないような形をとり、また、横領が起きないような仕組みづくりをして従業員を守ることも会社経営者(調剤薬局経営者)に必要な仕事のひとつです。
チェックリスト(現金管理)
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窓口収入は必ず預金に入れている
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会計帳簿と入金履歴が一致している
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小口現金の出納帳をつけている
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レジ残高と帳簿残が合っているか定期的に確認している
「調剤薬局の経理、うちはこのままで大丈夫?」
少しでも不安がある方は、調剤薬局に強い税理士にご相談ください。