ファーマシー税理士事務所

調剤薬局において小規模企業共済とセーフティ共済は必要?

小規模企業共済やセーフティ共済(倒産防止共済)は、節税に役立つものとして有名ですが、実際に調剤薬局にとって有利なのか?と思ったことはありませんか?

調剤薬局を経営していると、将来の資金繰りや節税対策に悩むことも多いですよね。

今回は、小規模企業共済と倒産防止共済(経営セーフティ共済)について、調剤薬局経営者にとってどんなメリットがあるのか、税理士の視点でわかりやすく解説します。

 

小規模企業共済とは?

小規模企業共済は、個人事業主や法人の役員が退職金のような形で積み立てられる制度です。
毎月の掛金は1,000円から7万円まで自由に設定でき、全額が所得控除の対象になります。
つまり、節税しながら将来の退職資金を準備できるという特徴があります。

薬局を法人で運営している場合でも、役員(社長)が加入することが可能です。
掛金は途中で増減もでき、万一廃業した際や退任した際に共済金として受け取ることができます。

薬局経営者にとってのメリット

  1. 節税効果が高い(全額所得控除)
  2. 廃業・退任時の退職金準備になる
  3. 資金の貸付制度もあるため、いざという時の資金繰りに役立つ

なお、解約のタイミングによっては元本割れのリスクもありますので、途中解約には注意が必要です。

 

倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?

倒産防止共済は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐ目的で作られた制度ですが、実務上は資金の積み立てと節税の手段としても使われています。
毎月5,000円〜20万円の範囲で掛金を積み立て、最大800万円まで積立が可能。
しかも掛金は、全額を損金(法人)または必要経費(個人)に計上できます。

薬局経営者にとってのメリット

  1. 掛金が全額損金になり、節税効果が高い
  2. 積立金は40ヶ月以上で解約すれば全額戻ってくる
  3. 解約金を受け取った年に赤字を作っていれば、課税を回避できる可能性がある

特に法人薬局においては、黒字のうちに積立しておいて、退職金支給や赤字年度に合わせて取り崩すことで、かなり柔軟な税務戦略が可能になります。

 

どちらも「将来のための税務戦略」として有効

薬局経営では、医薬品の仕入れや人件費といった固定費が多く、利益が出る年もあれば苦しい年もあります。
小規模企業共済は「個人の退職金対策」、倒産防止共済は「法人の節税と内部留保の代替」として活用できます。

どちらも即効性のある節税手段ではありませんが、中長期的な視点で見ると非常に強力な武器になります。

 

導入のポイントと注意点

・小規模企業共済は「個人が加入」する制度。法人そのものは加入できません。
・倒産防止共済は「法人が加入」するのが一般的。取引先が限定されていた時代より、現在は形式的な要件を満たせば実務上はほぼ利用可能です。
・いずれも解約タイミングによって課税が発生したり、元本割れする可能性があります。

 

まとめ

調剤薬局経営者にとって、小規模企業共済と倒産防止共済は将来のための強力な節税ツールです。
特に次のような場合は、導入を検討する価値があります。

・毎年黒字が出ており、税金対策をしたい
・将来的に退職金を準備しておきたい
・資金繰りのリスクに備えておきたい

 

生命保険やその他の節税商品がYouTubeやSNSにはあふれていますが、どれも元本割れのリスクが高いものや、そもそもの投資の意味合いを持つものも多いです。

それらを検討するのであれば小規模企業共済や倒産防止共済を検討するのがよいでしょう。

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