インボイス制度と調剤薬局:登録すべき?しなくてもいい?

ですが、小分けなどをする際にインボイス番号の有無についてきかれることもあるのではないでしょうか。
そのため調剤薬局の経営者の中には、「うちは登録した方がいいの?しなくても大丈夫?」と迷っている方も多いことと思います。
そこで今回は、調剤薬局がインボイス制度に登録すべきかどうか、判断のポイントを税理士目線でわかりやすく解説します。
目次 ▲
先に結論
調剤薬局において、ほとんどの調剤薬局においてインボイス登録は不要です。
ただし、老健施設やネット診療などで会社相手(BtoB)取引が多い場合は必要になることもあります。
インボイス制度とは?
インボイス制度とは、ざっくりいいますとインボイスの登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者)が発行する一定のルールに沿った請求書(=インボイス)があることで相手先が消費税上の控除を受けられるという制度です。
インボイス番号がなければ相手方において消費税の控除が受けられなくなります。
同時にインボイス番号を取得することは消費税の納税を負うということになります。
調剤薬局における消費税の課税関係
調剤薬局においては、売上先が以下のようなものになります。
・保険調剤売上→消費税:非課税
・OTC医薬品売上→消費税:課税
・雑貨や衛生品販売→消費税:課税
つまり、保険調剤中心の薬局は、非課税売上が多くそもそも消費税の納税がないことがほとんどです。
インボイス番号を取得すると消費税の納税義務が発生しますからインボイス番号を取得するメリットはありません。
登録しないという選択もアリ?
そのため実際、以下のような薬局は「インボイス制度に登録しない」という選択も現実的です。
登録しなくても困らないケース
- 保険調剤が売上の9割以上を占めている
- 医薬品の仕入れが大半で、課税売上に対応しない仕入が多い
- BtoC(個人客相手)の販売が中心で、取引先からの「インボイス発行」要求がない
こうした薬局では、あえて登録するメリットが少ない場合もあります。
逆に登録すべき薬局は?
以下のような調剤薬局はインボイス登録を検討すべきです。
インボイス登録した方がいいケース
- 医薬品以外に雑貨、OTC販売が多く、課税売上が一定額以上ある
- 老健施設や医療機関に対して保険外の調剤や物品販売・サービス提供をしている
- 取引先よりインボイス番号が必要といわれた
インボイス登録しないデメリットは?
登録しないままだと、以下のようなデメリットが出る可能性もあります。
- 取引先(法人等)から「インボイスがないなら取引を見直す」と言われる
- 外部委託業務や訪問サービスの契約更新で不利になることがある
- 将来課税売上が増えたときに後から登録が必要になる場合も
登録するならいつまでに?
インボイス登録には、申請から2か月程度の審査期間があります。
今後の課税売上の増加や、取引先との関係を考えて「登録が必要かも」と思ったら、早めに動くのがおすすめです。
開業時を除いて遡っての取得はできません。
まとめ
調剤薬局は非課税売上が中心の業種ですが、OTC販売や外部取引の有無によってインボイス登録の必要性は変わります。
迷ったら一度、顧問税理士に現状を整理してもらいましょう。