棚卸(医薬品在庫)で失敗しないためのポイント【調剤薬局向け】

決算時には、調剤薬局でも「棚卸在庫」の計算が必要です。棚卸在庫とは、購入した医薬品のうち決算日時点でまだ使用していない薬品のこと。単なる在庫確認ではなく、会計・税務に直結する重要な業務です。
薬品の費用計上は「使用時」が原則
薬品は購入時には費用にならず、まずは棚卸資産として計上されます。実際に使用された時点で売上原価として費用化します。
そのため、決算日に残っている薬品は、使用期限が近くても資産計上が必要です。
この処理を誤ると、費用の過大計上とみなされ、利益操作の疑いを招く可能性があります。
在庫金額の計算方法
薬品の使用分は、以下の計算式で求めます。
期末在庫は薬品ごとに数量を数え、単価を掛けて算出します。
単価は「移動平均法」や「最終仕入原価法」など、継続して採用している方法を使いましょう。
また、評価は販売価格ではなく仕入価格ベースが原則です。
廃棄の取扱いと注意点
使用期限切れや変質した薬品は廃棄して経費にできますが、必ず証拠を残すことが重要です。
証拠例
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廃棄リスト(薬品名・数量・廃棄日など)
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廃棄前後の写真
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管理薬剤師の確認記録
証拠がなければ税務調査で否認される可能性があります。
また、過剰仕入による期限切れは経営判断ミスとされ、損金不算入となる場合があります。
古い在庫の廃棄は計上年度に注意
数年前に仕入れた薬品でも、廃棄費用として計上できるのは廃棄を行った年度のみです。過年度にはさかのぼれません。
毎年の棚卸で期限切れや不要在庫を早めに把握し、処分判断を行いましょう。
棚卸は税務リスク対策の第一歩
棚卸は正確な会計処理だけでなく、税務調査での指摘リスクを下げる効果もあります。
在庫と帳簿の整合性を保ち、期限切れ・不要在庫を放置しないことが重要です。
棚卸や廃棄処理に不安がある場合は、調剤薬局に詳しい税理士に早めに相談し、トラブルのない決算を迎えましょう。