調剤薬局の交際費はどこまで認められる?【税理士がわかりやすく解説】

「薬局での飲食代は経費になるの?」
「患者さんに渡す粗品は交際費?」
「門前薬局だけど病院に対する贈答は交際費?」
そんな疑問をお持ちの薬局経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、調剤薬局における交際費の範囲と、どこまでが経費として認められるのかを、税理士の視点からわかりやすく解説します。
交際費とは?
まず、交際費とは「得意先や仕入先、その他事業に関係のある者との関係を円滑にするための接待・贈答・接遇費」などを指します。
法人においても個人事業においても原則として、業務のために支出されたものであれば、一定の範囲内で損金(経費)にできます。
調剤薬局でよくある交際費の例
以下は、調剤薬局で見られる交際費の具体例です。
内容 | 経費として認められる? | 科目例(会計処理) |
---|---|---|
医師・MSとの食事会 | △(業務性・頻度に注意) | 交際費(または会議費) |
開業祝いや開局祝いの贈答品 | ○(業務上の関係があれば) | 交際費(贈答品費) |
お中元・お歳暮(取引先向け) | ○ | 交際費(贈答品費) |
患者さんへの粗品(タオル等) | ○ | 販売促進費(広告宣伝費) |
お菓子や飲料の差し入れ(業者) | △ | 交際費 |
従業員との食事や飲み会 | ×(原則福利厚生費) | 福利厚生費(※一定条件) |
ポイント①:患者さん向けは「広告宣伝費」で処理する
患者さんへの粗品やティッシュ配布、カレンダーの配布などは、「交際費」ではなく広告宣伝費や販売促進費として処理する方が望ましいです。
この場合、税務上の交際費の制限を受けません。
ポイント②:医師や業者との関係性に注意
製薬会社や医師との食事会については、業務の関連性が明確であること、過度でないことが大切です。
また、「接待の頻度」「一人当たりの金額」なども税務調査で確認されるため、記録(参加者、目的など)を残すことが重要です。
領収書をもらったら、裏面などに参加者だけでも記入する癖をつけるると良いでしょう。
ポイント③:従業員との飲み会は「福利厚生費」
社員旅行、忘年会、歓送迎会など、全社員対象で常識的な範囲であれば「福利厚生費」として処理できます。
ただし、役員だけ・一部の人だけの場合は交際費や給与・役員報酬となる可能性もあるため注意が必要です。
ポイント④:交際費の税務上の限度額(中小法人)
資本金1億円以下の中小法人では、以下のいずれか少ない方の金額まで交際費が損金になります(2025年8月現在)
通常、弊社のお客様である調剤薬局ですと年800万を超えることはほとんどありません。
ですのであり交際費の枠に関して気にする必要はないでしょう。
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年間800万円までの全額
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交際費等のうち、飲食にかかる接待費の50%
税務調査で見られるポイントは?
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接待先・目的が不明な領収書
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領収書だけで、誰と何の目的での飲食かわからない
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医師との過剰な接待・頻繁な飲食
→これらは否認されやすいため、「誰と」「何のために」使ったのかを、会計ソフトの備考欄やExcelでメモしておきましょう。
まとめ
調剤薬局でも交際費は一定範囲で認められますが、「相手が誰か」「目的が業務に関係しているか」が重要な判断基準です。
交際費として認められれば調剤薬局の場合は基本的には経費となります。
問題なのは私的な支出であるとか個人的な支出として認定されて交際費と認められないということです。
例えば、同じ交際費でも患者さんに対して過度な交際費というのは事業の為ではなく個人的なものではないか?と思われます。
それは患者さん1人あたりにたいする収入と交際費の比率であきらかに過度と思われるためです。
もちろん必要であれば問題とはなりませんが、そういった判断をされるのだということを理解しておくのが良いでしょう。
また、これらは税務上の制限や仕訳の工夫で、経費処理の最適化が可能となります。
お困りの方へ
「これは交際費?広告費?」「この接待は大丈夫?」などご不安な場合は、調剤薬局に強い税理士にご相談ください。
当事務所では、日々の会計処理から節税対策まで、薬局経営をトータルでサポートしています。