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調剤薬局に経営分析は必要か?普通の指標では見えない薬局の真実

調剤薬局に経営分析は必要?

調剤薬局の売上は、一般的な小売業やサービス業のように「価格設定」や「販売力」で大きく差がつくわけではありません。
なぜなら、調剤報酬は診療報酬改定で全国一律に決まっており、自由な値付けができないからです。

では経営分析は不要なのかというと、答えは「必要」です。
利益を左右するのは「コスト構造」や「加算の取得率」であり、そこを把握するためにこそ経営分析が役立ちます。

通常の「客単価」「来店数」は意味が薄い

小売業では「客単価=売上÷来店客数」「来店数の増減」といった指標がよく使われますが、薬局ではあまり意味を持ちません。
処方箋枚数や患者数は、近隣の医療機関の規模や診療科目に依存しているため、薬局の努力で大きく動かせるものではないからです。

調剤薬局に必要な分析指標

薬局経営を把握するには、薬局特有のKPI(重要指標)が必要です。例えば:

  • 処方箋枚数の推移(月別・医療機関別)

  • 処方箋1枚あたり売上・技術料・薬剤料の構成

  • 人件費率(薬剤師・事務スタッフの給与が売上に占める割合)

  • 薬品在庫回転期間(在庫を何日分抱えているか)

  • 家賃比率(売上に対する家賃負担の割合)

  • 加算取得率(後発医薬品体制加算、地域支援体制加算など)

  • 長期処方・高齢患者比率(将来のリスク要因)

これらを継続的にモニタリングすることで、
「人件費が高すぎるからシフト調整を検討しよう」
「在庫が多すぎるから発注方法を見直そう」
「加算の届出をして利益を確保しよう」
といった具体的な改善行動につなげられます。

まとめ

  • 調剤薬局の経営分析は 「一般企業と同じもの」では役に立たない

  • 薬局専用の指標(処方箋単価、人件費率、在庫回転、加算取得率など)でこそ、現場に活かせる。

  • 数字を追うことで経営改善のヒントが見えてくる。

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