調剤薬局における交際費の注意点|税務調査で狙われやすいポイント

調剤薬局で交際費は本当に必要?
調剤薬局は、医師からの処方箋に基づいて調剤を行うビジネスモデルです。
そのため、一般企業のような「顧客接待」の機会は少なく、交際費が必要とされる場面は非常に限定的です。
実際に認められやすい交際費は、以下のようなケースに限られます。
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医師や処方元の病院との必要な会食
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内装業者やシステム会社との打ち合わせを兼ねた飲食
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薬剤師会活動後の懇親会
一方で、スタッフ同士の飲み会は福利厚生費で処理すべきですし、患者への贈答品やサービス券は薬機法や広告規制の観点から問題になる可能性があります。
例外:老健施設や在宅医療への営業活動
ただし、調剤薬局でも営業活動を行うケースでは交際費が認められる余地があります。
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老健施設・介護施設への営業
施設単位での一括処方や服薬管理を提案するために、担当者との会食・打ち合わせが必要になることがあります。 -
新規開局時の医療機関・施設への挨拶
医師や施設長との信頼関係づくりが不可欠な場合。 -
在宅医療に関連する連携先との会合
医師や訪問看護ステーションとの打ち合わせを兼ねた会食。
こうした交際費は「営業目的であり、売上拡大や業務連携のために不可欠だった」と説明できれば、税務署からも正当と認められる可能性が高くなります。
領収書には 誰と、どのような目的で 会食したのかを必ずメモしておきましょう。
交際費が多いと税務調査の対象に
税務署が税務調査で特に注目するポイントのひとつが交際費です。
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調剤薬局にしては交際費が異常に多い
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売上や規模に比べて交際費が突出している
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プライベートと業務の境目が不明確
こうした「異常値」は調査対象になりやすく、否認リスクも高まります。
実務での安全な処理
調剤薬局では、交際費として計上するよりも「福利厚生費」や「会議費」として処理する方が自然なケースが多くあります。
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全従業員を対象とした飲食 → 福利厚生費
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業務上の打ち合わせに伴う飲食 → 会議費
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合理的に説明できる営業活動や医師との会食 → 交際費
このように正しく区分することで、税務調査でのリスクを減らすことができます。
まとめ
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調剤薬局の交際費は、基本的に必要性が低く、認められる範囲は狭い
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老健施設や在宅医療への営業活動など、例外的に必要とされる場合もある
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交際費が売上規模に比べて多すぎると、税務調査で“異常値”として狙われやすい
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領収書には目的と相手方を明記し、福利厚生費・会議費と正しく区分することが安心経営につながる