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調剤薬局の福利厚生を徹底解説 ― 健康診断からジム利用まで薬剤師を支える制度

調剤薬局経営において、薬剤師やスタッフの人材確保と定着は欠かせません。給与だけでなく「働きやすさ」を提供するために、福利厚生制度の充実が重要なテーマです。
今回は、調剤薬局における福利厚生費の考え方・税務上の注意点・具体的事例(整体・スポーツクラブ利用なども含む)を詳しく解説します。

福利厚生費とは?

福利厚生費は、従業員の生活向上や労働環境の改善を目的とする費用です。税務上は「全従業員を対象」とすることが原則であり、特定の従業員や役員のみへの給付は「給与」として課税される可能性があります。


調剤薬局でよくある福利厚生費の具体例

1. 健康・医療関連

  • 健康診断費用:年1回の定期健診は福利厚生費として認められる。

  • インフルエンザ予防接種:全員対象なら福利厚生費。特定の人だけは不可。

  • 整体・マッサージ代:注意が必要。全従業員を対象に「福利厚生制度」として一律補助する場合は福利厚生費。ただし、一部従業員だけに支給すると給与課税リスクが高い。

2. 運動・リフレッシュ関連

  • スポーツクラブ会費・ジム利用料

    • 全従業員が自由に利用できるように契約すれば福利厚生費。

    • 特定の従業員だけに会社が負担する場合は給与課税となりやすい。

  • リラクゼーション施設利用補助:同様に「全員対象」が大前提。

3. 食事関連

  • 昼食補助(一定額を全員に支給)

  • 忘年会・懇親会費用(原則全員参加)

4. 慶弔見舞金

  • 結婚・出産祝い金

  • 弔慰金・香典(社会通念上妥当な範囲内)

5. 通勤・業務関連

  • 制服・白衣の貸与

  • 通勤交通費の実費支給

福利厚生費と給与課税の分岐点

整体やスポーツクラブの費用は特に税務調査でも注目されやすい分野です。

  • 全従業員対象で制度化 → 福利厚生費

  • 特定従業員だけ負担 → 給与課税

  • 役員中心で利用 → 役員給与(損金不算入)扱いのリスク

例えば「薬剤師だけ整体補助」「店長だけジム会員費を会社負担」といったケースは給与認定される可能性が高いです。

福利厚生費を充実させるメリット

  • 人材定着率の向上:薬剤師不足の中で魅力ある職場づくりに直結

  • 税務上の損金算入:適切に制度設計すれば会社経費として処理可能

  • 健康経営の推進:従業員の体調管理にもつながる

まとめ

調剤薬局における福利厚生費は、健康診断や予防接種だけでなく、整体やスポーツクラブ利用など幅広く認められる可能性があります。
ただし「全従業員対象」「社会通念上の妥当性」を満たさない場合は給与課税リスクが高いため、制度設計と会計処理には十分注意が必要です。
また、よくあるのが全従業員対象としているけれど実際に利用しているのは役員だけという場合は実態として役員のみに対するものとして給与認定されることもありますので注意が必要です。
不合理化と思われるかもしれませんが、福利厚生は本来従業員のためのものですので従業員が利用していない制度や福利厚生は福利厚生とはいえないと言われてもしかたありませんのでご注意ください。

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