第5回:調剤薬局における経費の範囲と線引き (はじめての薬局税務シリーズ)

経費計上の基本ルール
調剤薬局の経費は「業務に直接関連するかどうか」で判断されます。薬局運営に必要な支出であれば経費として認められますが、プライベートな支出は認められません。経費の線引きを誤ると税務調査で否認されるリスクがあるため、正しい区分が重要です。
経費として認められる典型例
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研修費・学会費:薬剤師としての専門知識習得に必要な場合
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専門書・業界誌購読料:業務に関連する範囲で計上可能
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白衣や薬局ユニフォーム:業務用として明確に使用されるもの
👉 「業務に必要か」という視点が一番の判断基準です。
按分が必要なケース
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自宅兼薬局の家賃や光熱費:業務利用部分を按分して経費化
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車両費:訪問薬剤師用としての使用割合を算出し、経費とする
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通信費:業務用スマホ・インターネットの使用割合を区分
👉 按分の根拠を明確にしておくと税務調査でも安心です。
注意が必要な経費
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接待交際費:小規模薬局でも発生する可能性あり。法人では年間800万円までが一部損金算入(資本金1億円以下の場合)。
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福利厚生費:スタッフ全員が利用できるものでなければ経費と認められない。個人的な支出は否認されるリスク大。
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雑費:区分が不明確だと調査で突っ込まれやすいため、できるだけ明細化する。
- 個人経費として認められない例:白衣などは経費として認められると上記で記載しましたがスーツ、メガネ、腕時計などは公私の区別がつかないため一般的には認められません。
(※社内利用規定や従業員の利用実績などがあれば認められることもあります。)
開業間もない薬局が意識すべきこと
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開業初期は免税事業者であることが多いため、消費税の控除は発生しないが、経費の妥当性は所得税・法人税計算に直結する
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「何のための支出か」を説明できるよう、領収書や証憑をしっかり保存する
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経費性がグレーな支出は税理士に相談するのが安全
まとめ
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経費は「業務関連性」と「妥当性」で判断
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自宅兼薬局や車両・通信費は按分計算を徹底
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接待交際費や福利厚生費は小規模薬局ほど注意が必要
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開業初期は免税であっても、正しい経費処理が税務リスクを減らすカギ