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物価高騰で薬局経営はどう変わる?調剤薬局が直面する課題と対応策

物価高騰が薬局経営に与える影響

ここ数年、エネルギーや生活必需品の値上がりが続いています。一般家庭だけでなく、調剤薬局の経営にもその影響は及んでいます。

特に以下の点で経費増加が目立っています。

  • 光熱費の上昇
    冷蔵保管や調剤機器の稼働などで電気代の負担は大きく、電力価格の上昇は薬局にとって直接的なコスト増加につながります。

  • 人件費の上昇
    物価高騰に伴い、薬剤師・事務スタッフの給与改善圧力が高まっています。特に人手不足の地域では採用コストも上がり、経営を圧迫しています。

  • OTC医薬品・雑貨の仕入れ価格
    消費者向けの医薬品やマスク、衛生用品などは市場価格に左右されるため、値上げの影響を受けやすいです。しかしドラッグストアとの競争で販売価格に転嫁できず、利益率低下を招くケースも少なくありません。

調剤報酬は変わらない現実

薬局の主な収入源である調剤報酬は点数制で国が定めています。
つまり、物価高騰があっても報酬単価はすぐには変わらず、「収入は横ばい・支出だけが増える」という状況が生じやすいのです。

特に中小規模の薬局では利益率が数%程度にとどまることも多く、わずかな経費増加でも赤字転落リスクを抱えやすいといえます。

調剤薬局が取り組むべき対応策

1. 固定費の見直し

  • 電気・ガス契約の再検討

  • 省エネ機器への投資

  • 店舗照明のLED化など

2. 在庫管理の徹底

  • 薬品や雑貨の廃棄を減らす

  • 発注サイクルの最適化で無駄な仕入れを抑える

3. 雑貨販売での工夫

  • まとめ売りやポイント制度で値上げ感を緩和

  • 売れ筋商品を絞って仕入れコストを抑制

4. 業務効率化による人件費対策

  • レセコンやクラウド会計ソフトの活用

  • オンライン資格確認端末の導入

  • 自動分包機での調剤業務の効率化

税務・資金繰りの観点

物価高騰による経費増加を放置すると、キャッシュフローが悪化しかねません。

  • 経費の見える化
    月次試算表で光熱費や人件費の増減を把握し、経営判断に活かす。

  • 資金繰りの確保
    運転資金が不足する前に、金融機関との借入枠を確保。

  • 共済制度の活用
    小規模企業共済や倒産防止共済を使えば、資金繰り対策と節税を同時に進められます。

まとめ

物価高騰の影響で、調剤薬局は「収入は横ばい・経費だけ増加」という厳しい状況に直面しています。
こうした環境下で経営を守るためには、

  • 固定費の見直し

  • 在庫管理の徹底

  • 業務効率化による人件費削減

  • 税務・資金繰りの工夫

が欠かせません。

薬局経営者にとっては、数字で現状を把握し、小さな改善を積み重ねることが、物価高騰時代を乗り切る大きな力となります。

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