調剤薬局専門の税理士ファーマシー会計事務所

第6回:調剤薬局の決算と納税予測の基礎 (はじめての薬局税務シリーズ)

なぜ納税予測が必要か

調剤薬局は開業直後であっても、法人税や住民税、事業税の納税義務があります。特に3期目以降は消費税の課税事業者となるケースが多く、納税負担が一気に増えることもあります。
納税資金を準備できず、資金ショートに陥る薬局も少なくありません。

主な税金と納付スケジュール

  • 法人税・住民税・事業税:決算期終了後2か月以内に納付

  • 消費税:課税売上高に応じて、年1回または中間納付が必要

  • 源泉所得税:毎月納付、もしくは年2回納付(納期特例を利用する場合)

👉 開業間もない薬局は「免税事業者」で消費税が発生しないことも多いですが、法人税・住民税の納税は避けられません

納税予測の方法

  1. 毎月の試算表を作成

    • 売上・経費を集計し、利益と納税見込み額を早めに把握

  2. 仮決算を行う

    • 決算3か月前に一度見直し、利益予測と納税額をシミュレーション

  3. 納税資金を確保する

    • 納税資金専用口座に毎月積み立てておくと安心

節税と資金繰りのバランス

  • 決算賞与:節税効果はあるが、資金繰りに余裕がなければ危険

  • 設備投資:減価償却による節税効果はあるが、支出の即時増加に注意

  • 共済制度の活用:小規模企業共済や倒産防止共済は節税と資金準備の両面で有効

👉 節税は「資金繰りに余裕があること」が前提です。無理な節税策は資金ショートを招きます。

まとめ

  • 開業初期でも法人税・住民税は必ず発生する

  • 3期目以降は消費税が課税されるケースが多く、負担が増える

  • 納税予測を行い、毎月の資金繰りに組み込むことが安定経営のカギ

  • 節税よりもまず「納税資金の確保」を優先する

👉 次回は 「第7回:補助金・税制優遇の活用」 をテーマに、開業間もない薬局でも利用できる制度を解説します。

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