第1回:調剤薬局の売上と消費税の基本(はじめての薬局税務シリーズ)

調剤薬局の売上は、消費税の課税売上と非課税売上が混在する点に注意が必要です。
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保険調剤による売上:非課税
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OTC医薬品や健康食品の販売:課税
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マスクや衛生用品など雑貨の販売:課税
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在宅医療(居宅療養管理指導料など):非課税
つまり、調剤薬局の売上には「消費税の計算で課税対象となる部分」と「非課税部分」があり、これを正しく区分しないと誤った処理につながります。特に「薬局 OTC 課税」の理解は必須です。
調剤薬局の消費税計算と課税売上割合
薬局の消費税計算においては、課税売上割合が重要な指標です。
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課税売上割合 = 課税売上 ÷ (課税売上+非課税売上)
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課税売上割合が95%未満になると、仕入税額控除が全額使えず、按分計算が必要になります。
調剤薬局は保険調剤が多く非課税売上の比率が高いため、課税売上割合が思った以上に低くなるケースがあります。小規模薬局では「薬局 課税売上割合」を意識しないと、想定外の消費税負担につながることもあります。
小規模薬局で見落としやすい課税売上
調剤薬局の消費税計算では、以下のような売上も課税対象です。
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処方箋なしで販売するOTC医薬品
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サプリメントや健康食品の販売
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マスク・消毒液などの雑貨販売
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クレジットカードやQR決済の手数料転嫁分
これらはすべて「薬局 OTC 課税」に含まれるため、非課税と誤って処理すると税務調査で指摘される可能性があります。
会計処理と税務上の注意点
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売上区分を正確に管理
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会計ソフトで「課税」「非課税」を明確に区分
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POSレジで課税区分を設定し、調剤薬局の消費税計算を正しく行う
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仕入との対応関係を理解
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調剤業務は非課税売上が中心でも、仕入は課税対象が多い
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「薬局 課税売上割合」によって仕入税額控除の按分が変動
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免税事業者でも準備必須
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開業初年度は免税でも、2年目以降に課税事業者になる場合が多い
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将来の消費税計算に備えて「課税/非課税」の売上区分を初年度から徹底
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まとめ:薬局経営に必要な消費税の基礎知識
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調剤薬局の売上は「保険調剤=非課税」「OTCや雑貨=課税」で構成される
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調剤薬局の消費税計算では、課税売上割合が納税額に大きな影響を与える
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「薬局 OTC 課税」を正しく区分し、将来の課税事業者化に備えることが大切
👉 次回は 「第2回:簡易課税か本則課税か」 をテーマに、調剤薬局にとって有利な消費税計算方法を具体例とともに解説します。